突破する仕事と落とし込む仕事のコンピテンシーは違う

日曜日。春のあたたかい午後。わたしは京田辺シュタイナー学校での会議が終わり、ほっと胸をなでおろしながら坂を下った。

京田辺シュタイナー学校は、親が学校の運営に携わる。今日もその会議のうちの一つだった。学校の意志決定者は、明確でない。意志決定プロセスも、決まっていない。組織体系も、明確でない。そのなかでの会議は、私にはまあまあストレスフルだった。「なかなか大変だったね」と隣を歩く夫に話しかけると、「うん、まあ、でもこんな感じできっちり色んな会議に参加して関わっていこうかなっていう感じですよ」とさらりと言われた。

 

えっ、、、まじで、、、!?

 

私にはちょっと無理だった。もちろん会議に参加していこうとは思うし、対話を放棄するわけじゃないけど、あの話し合いを経て「きっちり色んな会議に参加していこう!」という気持ちにはさらさらなれなかった。

 

入学から1年。シュタイナー学校の文化に適応し、文脈を理解し、上手に溶け込んだのは夫のほうで、わたしはいまだに溶け込めていないことに気がついた。違和感が1個でもあると気になるけど、夫は違和感があっても「まああの人はああいう人、ということにしておけばいいんですよ」と気にしない。「それよりこの人のほうがキーパーソンだから、こっちにちゃんとコミットしたほうがいい。」と、ステイクホルダーマネジメント能力の高い発言をする。きっとこういう人が地域おこし協力隊になると、凄まじいアウトカムを地域のなかで出してくんだろう。「いりさん(夫)はすごいねえ」と感嘆の言葉を述べると、彼はまたさらりとこう言った。

 

「俺は実はね、いまの仕事についてから、適応力が上がったんですよ。きっちり、落とし込んできたから」

続けてこう言った。

「さちはさ、突破していかなきゃいけないでしょ。突破するのが仕事でしょ。突破する仕事と落とし込む仕事のコンピテンシー※は違うの」

※コンピテンシー:ある職務や役割において優秀な成果を発揮する行動特性

 

この五年。自分の信念を突き通しまくってきた。自分の思想をもち、世界観を持ち、新しいことをどんどんやることで成果を出していった。そんなわたしは、適応力にまったく欠けてしまったんだなあ、と気がついた。

 

もう学校のことは夫に任せよう、と思った。(いや、学校関わるけどさ)そしていつか近い将来、私がCEOで、彼がCOOになるイメージが湧いた。

いつか一緒に働けたらいいね、いりさん。

 

入谷聡がプロジェクトマネジャーの案件は、ほんとにうらやましいです。WEBサイトなどのクリエイティブ案件をどこに頼もうかなと悩んでいるあなた、loftwork京都の入谷聡にぜひたのしげな仕事振ってねー。